スーパーハードワークサッカー

京都サンガF.C.の試合レビューが中心。たまに観戦記。

2020シーズンJ2第1節京都サンガF.C.VSレノファ山口レビュー~だって相手がいるんだもの~

 

皆さんこんにちは、Ryu-Yです。

 

いよいよJリーグ開幕!となった直後に新型コロナウイルスの世界的、全国的な蔓延。

Jリーグは他のスポーツ団体の先陣を切って3/15までに行われる全ての試合を延期することを決めました。

その成否はここでは議論しないとして、折角リーグ戦が開幕したのに出鼻を挫かれることとなりました。

これが我が軍にとって好転すればよいのですが、相手の方が上積みしてきて別チームになっとるやんけ!となると悪夢ですね。。。

 

COVID-19が感染から発症まで2週間程度かかること、無症状でも他の人に感染させるリスクがあることを考えると、3/18に再開出来るのか不安ではありますが、今は海外サッカーや開幕戦をひたすらリピートすることで待つしかありませんね。

 

そして、私は今更ながら開幕戦レビューを書いていきたいと思います。

 

 

レノファ山口-京都サンガF.C. チームスタメン

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サンガは今季重点的に取り組んでいる3-4-2-1のフォーメーション。ほぼPSMの時と変わらないが、ダブルボランチのところにモッタではなく金久保が入り、ボールを捌ける選手を入れた。4バックの方がスムーズだという選手の声も聞かれていたが、直前に荒木のコンディション不良があったようなので、4-3-3で戦うにはウイングの選手がいない為このシステムにしたと思われる。試合後のインタビューでも實好監督は「今調子の良いメンバーがいて、その選手たちがスムーズに戦える形をとった」 と発言しており、選手ありきでシステムを構築している事が窺える。

一方、山口はおなじみの4-1-4-1。前、三幸、菊池(流)等サンガ同様多くの選手がJ1へ羽ばたいていったが、これは山口では許容しており、抜けたポジションには若手の台頭や補強で穴埋めをする。システムありきで選手を配置しており、サンガとは正反対のアプローチである。(サンガも穴埋め補強かと思っていたのだが、どうやら違うよう。)

 

 

Kick off

昨シーズンのレビューでも書いたかと思うが、キックオフはその試合の戦い方を宣誓する非常に重要な場面だと考えている。開幕戦のキックオフはなおさらのことでシーズンの宣誓をするといっても過言ではない。バックパスから前線へ蹴るのなら前へ前へ行くぞ、キーパーまで戻すのなら繋いでいくことを厭わないサッカー、中盤の選手が味方を見て、相手を見て空いている選手を正しく選んでパスを出せるか、他の選手は相手のいないポジション取りが出来ているかといった駆け引きがキックオフに詰まっている。

 

この試合では、ウタカから金久保へバックパス、金久保から左サイドの安藤へ展開、安藤は山口の前線三人からプレッシャーを受けるものの冷静に宮吉へ縦パス。相手の動きを見ながらスペースへボールを運んでおり良い入りが出来た。

山口側から見ると、前線三人に連動して中盤と後ろの選手たちがラインの押上げがなかったことで、宮吉に対して自らスペースを与えたような形になっている。また、山口は自分たちから見て左サイドに重めに人を配置していたことからサンガは山口の右サイドを攻略しようとしており、これは山口の誘導?であったとも推測される。

Wyscoutでの平均ポジションを見ると、武岡に比べて安在はかなり高い位置をとっており、山口は左から攻める、右は受け止める、ことを狙っていたのかもしれない。(あそこでスパッといきなり縦パス入れられるのは想定外だっただろうが)

 

とはいえ、サンガにとって良い入りが出来たことで序盤は相手を押し込みながら攻撃を行えていた。

 

 

攻撃:ひたすらに裏へ

 良い試合の入りをしたサンガは前半10分足らずでいくつかチャンスを作り出す。主に最終ラインからのロングフィードがウタカに入り、そこから一気に裏に抜けるか、もしくはWBへボールを渡してサイドからクロスを狙う形。サンガは最終ラインに安藤、バイス、森脇と足元の技術に優れた選手を配置しており、ボール保持時のビルドアップでは躊躇なくボールを下げる。そこからサイドの黒木や飯田に展開してダブルボランチの庄司と金久保の近い距離でのコンビネーションで相手のプレスをかいくぐっていく狙いが見える。ただ、実際には自陣から敵陣へボールを持ち運べたシーンは殆んど無く、山口の同サイドに圧縮した守備に対して裏に走らせることで打開しようとしていた。(させられていた)前半28分頃には監督からロングボールを狙うように、と指示がかけられていることをレポーターも伝えており、ワンタッチパスの精度が高い選手が3バック+2DHに揃っているサンガではあるが、彼らの特徴と1トップ+2シャドーの選手たちの狙いが上手くハマっていないように感じられた。

前半26分15秒辺りのシーンでは、黒木がボールを持った時に宮吉、中川、ウタカの全員が裏へ抜ける動きをしており、山口の2列目と3列目の間のスペースを使おうとする選手がいない。特に宮吉とウタカは動きが被ることが多く、相手のスペースにポジショニングを取るシーンが少なかった。

 

前半26分17秒前後

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ただ、後半10分頃のシーンでは山口の4-1-4-1の泣きどころであるアンカー脇のスペースを上手く利用することが出来、決定機に繋がった。

黒木が中、金久保が左サイド、庄司が寄ってきてワンツーからワンタッチで相手SB-CB間にいた宮吉へ縦パス。

選手を局面の中でローテーションさせながらパス回しをすることで相手のマークをずらしボールウォッチャーとなったところでスイッチを入れる攻撃が見られた。

前述したように、前半は相手のスペースを利用する攻撃が出来ておらず、後半もこれ以外に同様の狙いが見られたシーンは無く、昨季やっていたメンバーだからこその即興的な攻撃であり、この試合に限って言えば、明確に狙って行ったプレーではなかった。

 

昨季をベースにして上積みをしたいというのはどの指揮官もが口にする言葉ではあるが、PSM+開幕戦で見られた再現性はウタカのポストプレーと前線の裏抜けであり、相手の弱点を突く攻撃ではなく「俺らの強みを生かす」のが今季の京都のベースとなりそう。

 

 

オラオラ系守備

守備においては、敵陣でプレッシャーをかけるのは宮吉や中川が担当。相手のボールホルダーにプレスをかけることは出来ていたが、各個人単発でのプレスの為ボールを奪い切るところまではいかず、ヘニキまでボールが渡ることが多かった。ヘニキはいわゆる攻撃のスイッチを入れるアンカータイプではなくどちらかというとフィジカル面で強みが出せ、相手を跳ね返すことを得意とする選手である。彼にボールを受けさせることをサンガ側がどこまで許容していたのかは定かではないが、やはり中央を起点にサイドに展開されるのはなるべく避けたいので、ウタカとシャドーのどちらかでヘニキを消しながらサイドへ誘導してウイングバックがプレスをかける形へ持っていきたかった。また、ヘニキにボールが入るとプレスを行うのはダブルボランチのうちのどちらかである。距離にすると10m近くプレスを行うことも多く、さすがにこれでは相手に周りを見る余裕を与えてしまっていた。

 

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前半14分15秒辺りのシーンではヘニキを起点にサンガの右サイドへ展開され、安在にボールが入ったところをカバーする選手が誰もいない状況であった。中川は高を見ていてスライド出来ず、飯田はいくのかいかないのか中途半端なポジション、森脇は高井をマークしていたが裏のスペースへ走りこまれて対応出来ず、バイスが結局サイドに釣り出される形となった。PSMセレッソ戦でも露呈された弱点を、山口は高井というスピードに長けた選手を配置して攻略しようと試みていた。

5-4-1の守備はリトリートしてのブロックが特徴であり、レーンを埋めてスペースを消すことが出来る。上のシーンでは少し前がかりになったところの裏のスペースを使われる形となり、特に相手WGの選手が高井のようなスピードに優れたドリブラータイプだと苦労する。セットした状態から相手のボールの位置によって前へ前へ追撃プレスするのは得意な選手たちが多いので、もう少しラインを下げる判断も必要となってくるように感じる。高い位置でボールを奪ってのショートカウンターは理想ではあるが、現状のシステムだとそれよりも、相手にボールを持たれる時間が多くなっても少し引く選択肢があっても良いと思う。

 

 

相手がいてこそのサッカー

 当たり前のことであるが、サッカーは相手がいてこそ成立するものである。相手に合わせてサッカーを行うことも重要で、開幕戦といえども相手を分析して弱点を突く戦い方をせねばならない。

試合前、實好監督は真か否か分からないが「自分達だけをみてスタメンを決めた」と発言していた。(荒木のコンディション不良など、選手選びに関して相手のことを考える余裕が無かった?)一方、山口の霜田監督は「開幕戦がほかの試合と違うのは、開幕戦だけ特別に長い準備ができる。次の北九州戦の準備はこれから1週間しかないですが、京都の準備はずっと1カ月前からやっていました。勝ち点3が取れたから言うわけではないですが、しっかり京都の選手の特徴、京都がやりたいこと、京都にやらせてはいけないこと、それをみんながちゃんと頭の中で理解して戦ってくれたと思います。」と真逆の発言を試合後にしている。PSM含め、分析と対策を入念に行い、結果として山口の勝利で終わった。

「自分たちのサッカー」とどこかで聞き覚えのあるワードが似合いそうな今季の京都は、強烈な個の力を見せつけるサッカーに傾倒していくのではないかと、いささか不安になる開幕戦であった。

 

 

まとめと今後の展望

蓋を開けてみれば、PSMで見せた戦い方をベースにしていくことを明らかにした開幕戦。前任者のサッカーから大きく変わったことを早くも受け入れざるを得ない現実に少し虚しさを覚えているのは確か。

そうはいってもシーズンは開幕し、中断期間を経て18日にリーグ戦は再開する予定である。(ホーム開幕戦チケット取っていたのだが行けず。。。しばらくホームは行けなさそう。。。)

今レビューでは〇〇す「べき」論を沢山書いてしまい、純粋なレビューから少し逸脱して申し訳ありません。

昨シーズンの13サッカーを観ていると否が応でもサッカーリテラシーが高まり、戦い方に対するサポーターの目が厳しくなっているのはTwitter等でも感じていて「こうしたらいいのに!」と不満の声がすぐに高まりそうなのは 實好監督にとって少しかわいそうなところではありますね。(気を付けます。)

 

「今年こそJ1優勝」この横断幕と共に、今シーズンも闘いましょう!

今年一年宜しくお願い致します!

 

 

<基本スタッツ>

レノファ山口 - 京都サンガF.C.

スコア:1-0

xG:0.78-0.96

シュート数:9-15

枠内シュート:4-2

CK数:1-7

ボール保持率:40%-60%

合計パス/正確数:336/254 76%-540/448 83%

 

 

 

ではまた。