スーパーハードワークサッカー

京都サンガF.C.の試合レビューが中心。たまに観戦記。

2020シーズンJ2第2節京都サンガF.C.VSジュビロ磐田レビュー~真ん中閉じれば怖くない!~

 

皆さんこんにちは、Ryu-Yです。

 

 

125日間もの間サッカーの無い日々が過ぎ去っていました。

 

しかし、ようやく帰ってきました。

 

J2が私たちの下に帰ってきました!

 

 

今回はリーグ再開初戦となったジュビロ磐田戦をレビューしていきたいと思います。

 

 

プレビュー記事はこちら。

引用:www.superhardwork.com

 

 

スタメンは下図の通り。

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サンガは開幕戦から3枚入れ替え。

GKは清水から若原。森保監督の前で東京五輪メンバー入りへアピール出来るか。左WBのところは黒木から荒木。古巣対戦となる荒木は攻撃面でサイドを切り崩せるか。そして、中盤はモッタから曽根田へ。ウタカとの元甲府コンビでの連携に期待。

フォーメーションは攻撃時は3-3-2-2の取れる配置。試合を見ていくと分かるのだが、ウタカが中央にポジショニングをとり、1.5列目に宮吉がセカンドストライカーとして振る舞う。ウタカが結構自由に動き回るので、その空いたスペースを上手く埋めていた。2列目に金久保と曽根田がスペースを見つけ配給役、最終ラインとのパイプは庄司がセンターで担った。守備時は5-3-2の陣形を取り、裏のスペースを警戒してポジショニングはリトリート気味。磐田のサイド攻撃に中盤の3枚がどこまでスライド出来るかが非常に重要となる。

一方の磐田は開幕戦同様の4-4-2。FWはエース小川とルキアン。TMを観ていると三木の調子も良さそうだったが、ここはサンガのバイスと対峙することを考え、フィジカルレベルの高いルキアンを選択したか。大森→伊藤で、伊藤が2ボランチの一角、山本が左SHへ。CBは大井から大武へチェンジ。この辺りは対京都というより調子の良い選手を選んだように思う。

 

 

<磐田のビルドアップとサンガの守備対応>

試合開始から主導権を握ったのは磐田。TMでは上原がCBの間に落ちていた(サリー)のだが、この試合では伊藤がサリーをしていた。キック力には定評がある選手なので、左右への展開だけでなくロングフィードも蹴れることを考慮してのものと思われる。サンガの1列目はウタカと宮吉。真ん中にいる上原にはパスを出させないように内側を締めて、サイドへ誘導。磐田のSBへボールが出たらサンガの中盤3枚で対応。左は金久保、右は曽根田が献身的に長い距離をスライドしていた。また、磐田のSHへのボールが出たときはWBで対応。サンガのWB裏のスペースは空きやすい為狙われるかと思っていたが、そこに走り込む選手はほとんどいなかった。

 

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また、磐田のTMでよく見られた小川のボールを受ける動きがこの日は全く無く、ボールに関与する回数は少ない上にシュートは0本。このエースを抑えることが出来たのは、バイスを始めとする3CBがしっかりプレスして対応したことによることも大きいのだが、それ以上に相方のルキアンとの相性があまり良くなかったように思う。三木とのコンビではどちらかが裏抜け、どちらかがボールに近寄るなど役割分担が出来ていたが、この日のルキアンは左右どちらサイドにもよく動いていて、肝心の中央には小川一人が残されているシーンが目立った。ルキアンがサンガの選手を引き連れながら動いているのならまだしも、個人でボールを受けて特に前進させることなく戻すだけの場面がよく見られたので、小川にとってもやりにくかったであろう。フベロ監督が前半ずっと「ルキアン!!!」と叫び続けたのは、「小川と連携して動き出せ!」ってことだったんじゃないかなあ。

 

さて、前半からボールを持たれ磐田の攻撃を受け止める形となったサンガ。大きなサイドチェンジやビルドアップのやり直しで結構左右に振られていたのだが、安藤の試合後インタビューにもあったように、磐田がサイド攻撃を仕掛けてくるのは織り込み済みだった模様。

 

相手がスカウティングどおりサイドチェンジをしてピッチを広く使ってきたので、中盤の選手がうまくスライドして対応しました。」(京都サンガF.C. HPより安藤選手のインタビュー抜粋)

 

YoutubeとかでTM残っているし。

サポーターの為にライブ配信するのは素晴らしいことだけど、再開初戦はガッツリ対応されやすいのは確か。

後半に入っても磐田の左から右への大きなサイドチェンジに対してWBではなく金久保がスプリントしながら対応していたのはかなり印象的であった。WBが出て空いたスペースをIHが埋めるチームもあるだろうが、この試合のサンガは金久保と曽根田の献身性にかなり助けられた。曽根田はまだしも金久保はここまで守備に奔走出来るとは正直思っていなかったのだが、昨年13氏の下でネガトラとかプレスバックを結構求められていたので、昨年の成長がここに表れたのもかもしれない。

 

ボールの取りどころとしては、磐田のSHがボールを持って内側へボールを運ぼうとしたときに森脇が横パスをインターセプトするシーンなど、相手の攻撃を理解した上で狙ってカウンターに繋げるシーンは非常に好感が持てた。

また、磐田の両SHはそこまで縦への突破を仕掛ける選手ではなく、飯田、荒木の両WBが守備対応に追われるシーンが少なかったのも幸い。サンガのスタメンはかなりのファイヤーフォーメーションだったのでラインを上げた状態でボール奪われた後のカウンター対応には非常に脆い面があるのだが、磐田はサイドで時間をかける攻撃に持っていくことが出来たのはサンガ守備陣の良かった点である。むしろ飯田や荒木が磐田のSBに対して1対1を作り出して突破するシーンもあり、彼らのスピードを上手く生かすことが出来た。

 

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その他、サンガのビルドアップでの特徴としては、3CB全員がボールを蹴る能力、持ち運ぶ能力に優れるという点が挙げられる。磐田の2FWの脇を持ち運んで、相手のマークをずらしながらサイドに展開するシーンが多く見られた。その結果、金久保のようなポジショニングスキルの高い選手はボールホルダーから敢えて離れ、相手の「中点」を取るポジショニングでボールを受け、余裕を持った状態で前を向ける状況を作り出せていた。先制点のシーンも、金久保がボールを受けた場所は磐田の選手がすぐにプレスにいけない場所であり、ウタカへフリーの状態で浮き球を送ることが出来ていた。この辺りがチームとして狙いを持って再現性高く配置出来ていれば監督の手腕とも言えるのだが、各個人の経験、判断のようにも見え、ちょっとこの辺りは今後も継続して見ていきたい。

 

 

<開幕戦からの改善点>

サンガの攻撃に関して、開幕戦からの改善点が見られた。 

それは前線の選手の連動で、誰がボールを受けに行って誰が相手DFラインの裏を取るのかこの中断期間で整理された印象がある。第1節山口戦と今節で比較したシーンが下図になる。

 

 第1節山口戦前半26分17秒頃のシーン

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引用:www.superhardwork.com

 

今節磐田戦前半33分頃のシーン

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開幕戦では1FW+2シャドーが同じように裏抜けや下りてくる動きをしていて連動が無かったのに対し、磐田戦では宮吉がボールを受けに下りて、ウタカは裏抜け、金久保と曽根田はそれぞれ空いたスペースへ移動する動きがスムーズで、磐田の守備組織を混乱させることが出来ていた。特に金久保と曽根田は守備対応だけでなく攻撃時にも上図のように気の利いたプレーを随所に見せ、この長い中断期間と短い練習期間でここまでフィットさせてきたのは本当に素晴らしい。

 

<5人選手交代出来るメリット>

 再開後のJリーグはFIFAからIFABへの提案が通り、1試合での交代枠が3人から5人に増やされた。今後、夏場にかけて過密日程になった時に選手の負担を減らすためだと思われるが、このルール変更は監督の采配に大きな影響を及ぼす。

今節のサンガの場合、後半22分にウタカ、宮吉の2FWに代えて、野田、ジュニーニョを投入。2FWを同時交代することは、これまでの3人交代制ならほぼあり得ない采配である。この交代によって、前線からの守備を厭わない選手を投入することで磐田のビルドアップにプレッシャーをかけることが出来た。後半ラスト20分の相手の圧力が高まってくる時間帯でも、サイドに誘導してクロスを上げさせ、それをバイスなどが弾き返す守備でそこまでピンチを招くことは無かった。

試合中に京左衛門さんも述べていたが、リードしている時には抜群に効く采配だと感じた。

 

 引用:Twitterより

 

リードされている時や同点の時の交代のカードは・・・

それは次節以降にそのような状況になった時に見てみることとしよう。

 

 

<次節に向けて>

 4ヶ月ぶりのリーグ戦再開初戦で相手が昇格候補筆頭の磐田ということもあり、どうなることかと思っていたものの、終わってみれば2-0で勝利。ボールは保持され左右に揺さ振られたものの、結果的にゴールに迫るチャンスシーンはサンガの方が多かったので完勝と言って良いと思う。ボール保持に強みを持つ選手を中央に多く擁しながら、ボール非保持の戦い方を選択したのには驚いたが、その辺りは指揮官の割り切った姿勢に選手たちも応えたのだろう。

 

次節はアウェーの徳島戦。徳島は前節愛媛に前半3点リードしながらも、後半になんと4点も奪われまさかの敗戦。得点も失点もセットプレーやそのこぼれ球という、なんともいえない打ち合いとなった。徳島にとってCKを蹴られるのは相当プレッシャーになっていると思われるので、バイスの高さを上手く生かしたい。逆にサンガがCKを受ける時は、集中してこぼれ球へ対応したいところだ。WBは岸本、杉森といったスピード溢れる選手になるので、そこに相対することになるのは同じくスピード感ある突破に定評のある荒木、飯田。徳島が愛媛戦同様3-4-2-1でくればサイドでの攻防は磐田戦とは違って1対1の攻防が多くなると予想され、重要なポイントになるだろう。また、開幕戦でハットトリックを達成した西谷がサンガのDFライン裏のスペースを狙ってくることも予想される。サンガは磐田戦同様リトリートしたライン設定を敷くのかにも注目したい。

 

 

<スタッツ>

京都サンガF.C. 2 : 0 ジュビロ磐田

 

前半28分 ピーター・ウタカ

後半2分   ピーター・ウタカ

 

シュート数 13:8

枠内シュート数 6:1

パス数 414:789

ボール支配率 38%:62%

クロス 4:23

 

引用:Football labより

 

 

ではまた。