2020.1.1天皇杯決勝ヴィッセル神戸-鹿島アントラーズプレビュー~新国立のピッチに初めてシャーレを掲げるのはどちらか!?~
皆さんこんにちは、Ryu-Yです。
今回は新しくなった国立競技場のこけら落とし試合となる天皇杯決勝のプレビューを書いていきたいと思います。
ヴィッセル神戸のリーグ戦及び天皇杯成績
・リーグ戦8位
14勝5分15敗 61得点59失点 勝ち点47
第32節 セレッソ戦(ホーム)1-0○
第33節 鹿島戦(アウェイ)3-1○
第34節 磐田戦(ホーム)4-1○
・天皇杯
最高位:ベスト4(2000年、2017年)
2回戦 北九州戦(ホーム)4-0
3回戦 大宮戦 (アウェイ)4-0
4回戦 川崎戦(ホーム)3-2
準々決勝 大分戦(ホーム)1-0
準決勝 清水戦(ホーム)3-1
2019.12.21 天皇杯準決勝 清水エスパルス戦 スタメン
・シーズン途中から採用している3-3-2-2(3-5-2)のシステムで、最終ラインと中盤はほぼ固定。前は準決勝では田中と古橋の2トップだった。ビジャは清水戦をコンディション不良で欠場したが、引退試合となる決勝には間に合うとの報道が。他にも、ポドルスキ、藤本や小川らも控える。
・YouTube動画が話題となっている那須もこの試合限りで引退。出場はあるだろうか。
・最近の試合では攻撃陣が好調で、複数得点を奪って勝利する試合が多い。
<攻:自陣でのビルドアップ>
神戸はバルサ化を進めていく上で(進んでいるのか?)ゾーン1での自陣からのビルドアップについてはかなり精度が良くなっている。
まず、GK飯倉は夏にマリノスから加入。夏に退団したキム・スンギュとはタイプが違うが、DFライン裏のスペースや縦パスやフィードを自信を持って選択出来るところは神戸に合っている。
DFラインはベルギー代表フェルマーレンを筆頭に、大崎とダンクレーが並ぶ3バック。3人ともボールを持った時に広い視野でピッチを観察し、縦横にパスを送ることが出来る。清水戦は相手がドウグラスの1トップだったため、お互いが横に大きく開いてフェルマーレンがドウグラスの左脇でボールを受けてファーストプレッシャーラインを越えて行くシーンが多く見られた。
最終ラインで数的優位が作れている場合は、無駄にパスを回さずドリブルで持ち上がる判断の出来るCBが揃っているのは心強い。
ただ、飯倉含め持ちすぎて詰まってボールロストするというポゼッションチームの宿命には気を付けたい。
おそらく鹿島はある程度前線からプレッシャーをかけてくる事が予想されるので、相手2トップに対して、3CB+GKでかわしていくことが出来るかは1つ注目ポイントである。
また、攻撃の起点となるアンカーのサンペールを消してくる相手には、インサイドハーフのイニエスタや山口が降りてきてパスを受けるシーンが目立つ。
自陣からセンターサークル付近ではしっかり数的優位を作りながらフリーの選手にボールを送る意識が徹底されており、またそれを遂行できる技術を持った選手が揃っている。
清水戦ではフェルマーレンが持ち上がって左サイドから攻撃を開始する場面が多く、酒井のコンディションも良いこともあっていくつも左サイド深い位置まで侵入出来ていた。
※注
HV(ハルプフェアタイディガー,HalbVerteidiger):3バックの左右に位置するCB。フェルマーレンとダンクレー。
WB(ウイングバック):大外のレーンに位置する選手。酒井と西。
IH(インサイドハーフ):2列目の真ん中に位置する選手。イニエスタと山口
<守:最終ラインはマンマーク>
守備時は5-3-2の形になって、特に注目すべきは最終ラインの5枚の守備対応のところ。中盤の3枚では4-4-2の相手に対してスライドしきれないところが出てくるので前へ食い付く必要があるのだが、相手SHに対してWBが対応するだけではなく、CBの3枚の選手が中央のフォワード、トップ下の選手に対してマンマークでの守備対応を行っていた。
清水戦では、フェルマーレンは金子、大崎はドウグラス、ダンクレーはドゥトラにマンマークし、一列前へ飛び出しての守備も厭わないといった対応。相手を自由にさせない反面、その空けたスペースに走られて裏を突かれるリスクもあり、この辺りはあまりチームとして整理されているというよりは、個人の1対1の能力任せに感じられる。
鹿島はサイドチャンジやポジションチェンジなどを有効に使い、相手の最終ラインにズレとギャップを生み出して深い位置まで侵入することが求められるだろう。
<フリーマン古橋>
古橋はフォーメーション上は2トップの一角であったが、攻守にわたりかなり自由な振る舞いをしている。
攻撃時は中盤まで降りてきてボールを受けたかと思えば裏抜けの動きも行う。右サイドばかりというわけでもなく、左サイドにも頻繁に顔を出す。
一方、守備時にはファーストディフェンダーとして相手のパスコースを消すポジショニングを守るというよりは、最終ラインまで猛烈スプリントで戻ってボールホルダーへとアタックするシーンが多くあり、彼の豊富な運動量があってこその役割となっている。(もしかしたら、あまりポジションを守れと言われていないのかもしれない。)
経験を積んだ選手が多くいる神戸の中で自由に走り回る古橋は異質な存在であり、ある意味今の神戸にはこういった選手も必要なのかもしれない。
鹿島アントラーズのリーグ戦及び天皇杯成績
・リーグ戦3位
18勝9分7敗 54得点30失点 勝ち点63
第32節 広島戦(アウェイ)0-0△
第33節 神戸戦(ホーム)1-3●
第34節 名古屋戦(アウェイ)1-0○
・天皇杯
最高位:優勝5回(1997年、2000年、2007年、2010年、2016年)
2回戦 北陸大戦(ホーム)3-1
3回戦 栃木戦 (アウェイ)4-0
4回戦 横浜FM戦(ホーム)4-1
準々決勝 Honda FC戦(ホーム)1-0
準決勝 長崎戦(ホーム)3-2
2019.12.21 天皇杯準決勝 V・ファーレン長崎戦 スタメン
・夏にごっそり主力を抜かれて以降、得点力不足に苦しんでいる。複数得点を奪って勝利したのは長崎戦が久々であったが(しかし流れの中では得点が生まれていない。)得点後にすぐ失点するなど脆さが拭えない。
・大岩監督は今季限りでの退任が既に発表されている。優勝して報いることが出来るか。
・守備の要であるチョン・スンヒョンは全体練習に合流した模様。クォン・スンテは退団の噂もあり、出場するかどうかは不透明。
<攻:サイドからクロスを狙う>
鹿島の攻撃はレオ・シルバを中心にボールを左右に動かしペナルティエリア横の深い位置まで侵入して崩すことを狙いとしている。中には伊藤や土居といったクロスに対しピンポイントで合わせられる選手がいるので、サイド攻撃からクロスの割合は高い。
また、長崎戦ではセルジーニョが右SHに入ったが、彼はフォワードとしても振る舞うことが出来るタイプなので、伊藤が右に流れてセルジーニョが中に入るポジションチェンジを行うシーンも見られた。(土居が右に流れるシーンもあり、伊藤、土居、セルジーニョのローテーションは状況に応じて違和感無く出来ていた。)
長崎はサイドを狙う鹿島に対してレーンを埋める3バック(守備時は5バック)を採用。ただ、想定内といった様子で後ろに重くなりがちな5バックの手前でボールを受けて展開して打開を図っていた。
ただ、長崎戦では流れの中から得点は生まれず、選手にぶつかってのこぼれ球やオウンゴール、セットプレーによるものであった。
神戸の守備陣は人に対するアタックが強い傾向にあるので、簡単にDFラインの手前でボールを保持する展開にはならないであろう。鹿島が得意とするサイドチェンジを用いながら、相手を縦横に間延びさせ空いたスペースに伊藤や土居が走り込む中でシュートシーンを作っていきたい。
<守:前線からのプレスと軽い最終ライン>
鹿島は守備時も4-4-2のブロックを形成。2トップが早い段階からプレスを開始してボールホルダーへプレッシャーをかける。 それでもハマらない時はレオ・シルバがプレスにいきながら制限をかける。
気になったのは白崎や町田のいる左サイドで、長崎の左WB米田を白崎が見るのか町田が見るのか曖昧になっていた。(右サイドも同様)前半は食い付き過ぎてスペースを空けてしまうシーンがあり、後半はWBの選手を見ながらボールが出てからアタックする形に変更しある程度は機能していた。
決勝の相手となる神戸も3-3-2-2のフォーメーションで両WBが攻撃時高い位置を取るので注意が必要である。
失点シーンは2失点とも町田-犬飼のところのギャップを使われてのところ。
後半30分の2失点目でディフェンスラインが揃っておらず犬飼が謎に両足揃えて突っ立ってしまっている状況は、これまでの鹿島の守備統率ではあり得ないことなのだが、現実として起こってしまっている。
鹿島のキャプテンは永木でレオ・シルバと話して守備のやり方を工夫している様子はうかがえたが、ブエノ-犬飼のセンターラインと本職CBの町田の連携に不安がある面は拭えない。
<ここ一番での勝負強さ>
常勝軍団である鹿島の勝負強さ・・・というプレビューにあるまじき全く定量的でなく再現性からかけ離れた論調なわけだが、やっぱり鹿島がこれまで数多くのタイトルを手にしてきているのは事実。
もし先制するような展開となると、早い時間から試合を殺しにいくことが出来るのが鹿島である。
~予想される試合展開~
予想フォーメーションはこちら。
ヴィッセル神戸:3-3-2-2、鹿島アントラーズ:4-4-2
神戸がボールを保持して、鹿島がカウンターを狙う構図になることは容易に想像出来る。神戸はビジャが復帰し、ワントップにする形もありえるか。鹿島はチョン・スンヒョンがスタメンに復帰出来るか気になるところ。ただ、負傷者や病人が多数いるとの報道もあるので、スタメンはまだ分からない面もある。
抜群の得点力を誇る神戸に対し鹿島は先制されると厳しくなるので、キックオフ直後の守備対応は一層の注意が必要である。
神戸の得意な左サイドを鹿島は抑えることが出来るのかに注目したい。
リーグ終盤戦の戦いぶりから神戸が優勢とみられるが、天皇杯の経験が豊富な鹿島も侮ることは出来ない。
新国立競技場のこけら落としとなるこの試合にシャーレを掲げるのはどちらのチームとなるだろうか。
cf) 鹿島大丈夫かな。。。
では、また。
追記:今回のフォーメーション図作成にあたり、
TACTICALista betaを使用しました。(https://beta.tacticalista.com/)
football tacticsに代わる新たな作成アプリとして今後も重宝させていただきます。
Jun Kanomata(Twitter:@jun_kanomata)さん、ありがとうございます。