2019.11.3 J1第30節 湘南ベルマーレ-ガンバ大阪プレビュー
皆さんこんにちは、Ryu-Yです。
今週末はShonan BMWスタジアムにて行われるJ1第30節湘南ベルマーレ-ガンバ大阪戦を観戦予定ですので、試合を最大限楽しむ為に両チームの勉強を兼ねてプレビュー記事を書いていきたいと思います。
両チームともJ1残留争い真っ只中で、湘南は監督交代の影響もあり長いトンネルから抜け出せないでいる状況。ガンバは連敗こそ無いものの連勝も無くなかなか勝ち点が積み上げられていません。
湘南はJ2降格圏に転落しない為にも負けられない一戦、ガンバはJ1残留を確実なものにする為に6ポイントゲームをしっかりモノにしたいことでしょう。
上位争いではないものの、両チームの意地がぶつかり合う熱い戦いになることが予想されます。
~湘南ベルマーレ 成績~
16位 9勝4分16敗 37得点57失点
25節 浦和戦 1-1 △
26節 大分戦 1-2 ●
27節 清水戦 0-6 ●
28節 川崎戦 0-5 ●
29節 横浜戦 1-3 ●
・チョウ・キジェ監督のパワハラ問題が発覚してからチームがバラバラになってしまい、現在4連敗中。
・前節より浮島監督が就任し、走り勝つ「湘南スタイル」は継続しつつチームの立て直しを図るという難しい重責を担うことに。
・これまで湘南の代名詞であった3-4-2-1から4-4-2へフォーメーションを変更も3失点。金子や齋藤、杉岡といった要といえる選手がベンチもしくはベンチ外で、山田や梅崎といった大黒柱となりうる選手も精彩を欠いています。後述するG大阪にも言えることですが、ベストメンバーがなかなか組めない状況です。
~ガンバ大阪 成績~
10位 8勝11分10敗 41得点43失点
25節 横浜戦 1-3 ●
26節 鳥栖戦 1-0 ○
27節 C大阪戦 1-3 ●
28節 札幌戦 5-0 ○
29節 川崎戦 2-2 △
・夏場の引き分け地獄は脱したものの、勝ったり負けたりを繰り返す不安定なシーズンを過ごしています。
・前節は宇佐美、アデミウソンが欠場(今節は復帰濃厚とのこと)、チームの中心であった倉田が脳震盪と左頬骨骨折の重傷。小野瀬への負担がますます大きくなっています。
・宇佐美、アデミウソンで前線の守備を捨てながらも攻撃に振り切るか、渡邉と小野瀬で攻撃力を下げてでも守備もしっかり行うか宮本監督も苦悩していると思われます。(各個人のコンディションに気を遣うばかりで、対戦相手によって選手を使い分けられる状況ではない)
前節の両チームスタメンはこちら。
湘南は浮嶋監督初陣となる横浜FM戦で4-4-2のフォーメーションを採用。マリノス対策だったとの見方もあるようですが、マリノスの流動的なポジショニングに対し後手に回るシーンが多く見られ3失点。自慢のカウンターも鳴りを潜め、ターゲットマンである山崎をうまく使えなかった一戦でした。
ガンバは試合開始直後のロングボールから先制するものの、川崎にボールを握られると時間が経過するごとに押し込まれる展開に。逆転された後に追い付く気概は見せたのですが、チームの大黒柱であった倉田が負傷し長期離脱を余儀なくされることに。セカンドトップ、ウイングバックと運動量豊富な小野瀬を使い倒す戦術で彼に対する負担は大きくなるばかりで、過労で倒れないか心配です。。。
<湘南ベルマーレの特徴>
・「縦の美学」「湘南スタイル」といった表現がされ、Jリーグファンにはおなじみとなっている縦に早いサッカーが持ち味。浮嶋監督に代わってからもこのベースとなる部分は変わらないようです。
試合開始直後から相手最終ラインのボールホルダーに積極的に前線からプレスし、相手を窒息させるようなハイテンションな守備を行います。
また、マンマークでの守備を基本にしている為、人に食い付く傾向でその背後にスペースが出来ることが多いです。
前節のマリノスはマルコス・ジュニオール、仲川、松原といったスペースを見つけポジショニングをとり、スペースに走り込める選手が多数いたので、湘南の選手たちが食い付いて空いたスペースを上手く利用してゾーン3(マリノスから見て相手陣地深く)までボールを運べていました。
・CFの山崎は高さと強さがあり、またゴールに向かって走り出せる万能型選手です。マリノス戦では2トップの一角でしたが、チョウ・キジェ政権時にはCFとしてボールを収めたり、受けて散らしたりして攻撃の起点になっていました。
ボール保持を目的としておらずロングボールの割合が多い湘南においてはこういったワンクッションおける選手は貴重な存在であり、シャドーの選手が走り出す時間を作り出すことが出来ます。
・CK時の坂のモンスタージャンプにご注目下さい。
【公式】ゴール動画:坂 圭祐(湘南)90+6分 湘南ベルマーレvs鹿島アントラーズ 明治安田生命J1リーグ 第21節 2019/8/3
私もスタジアムで見ていたのですが、これには驚きました。
身長は174cmということでそれほど大柄ではないのですが、この驚異的なジャンプ力で相手DFに競り勝って劇的勝ち越し弾を決めました。
彼がファーで待ち構えて折り返したりゴールを狙ったりするのはチームとしての約束事としているようで、セットプレーは1つ流れを変えるプレーになるかもしれません。
<ガンバ大阪の特徴>
・ボール保持時に金と三浦がペナルティエリア横幅辺りまで開いて矢島がサリー気味(サリーダ・ラポルビアーナ:アンカーの選手が最終ラインまで降りてくる動き)、GKの東口を含めてダイヤモンド型のビルドアップを行います。2トップの相手に対してはかなり有効で、川崎戦ではダミアン・中村からのプレッシャーをうまくかわしていました。
ただ、そこからサイドやIHの選手を使って相手の2列目を崩す動きは見られず、結局チャンスとなるのは三浦や東口といった足元に技術に秀でた選手が倉田や小野瀬の裏抜けに合わせてロングフィードを送る場合に限られます。
いわば、最終ラインのビルドアップが「ロングボールを正確に蹴られる時間とスペースを創出している」為に行われているのです。
・ボール非保持時には5-3-2の陣形を取ります。1列目の選手が宇佐美・アデミウソンコンビの場合と渡邉・小野瀬コンビの場合とでは守備の制限が全く変わってきます。
宇佐美やアデミウソンは守備を実質免除されている選手なので、ほとんど前からプレスを行うことはせず、攻め残ってカウンター待ちとなります。
渡邉や小野瀬が出場した試合は前からある程度制限をかけることができ、2列目の選手もある程度ボールの出所を予測することが出来ます。
前述したように、2トップに誰を置くかは選手のコンディション次第なところがあります。
・2、3列目は3-5の陣形を取ります。5-3-2のシステムでは、2列目の3枚だけでは横幅をカバー出来ず、最終ラインのWBの選手などがライン間の相手に食いつく動きが必須となるわけですが、当然食い付くとその裏にスペースが出来ます。前節の川崎の選手は中村や家長といった時間とスペースを上手く作り出す選手たちがおり、ガンバは後手に回るシーンが多く見受けられました。
-参考-
3-5-2のシステムで非常に面白い戦いをしているのがプレミアリーグ昇格組のシェフィールドユナイテッド。3バック両サイド(HV)のオーバーラップに注目されがちですが、ボール非保持での最終ラインを観察するのもかなり面白いです。能動的な5バック。
<予想される試合展開>
予想スタメンはこちら
両チーム共に怪我人、体調不良者を多く抱える野戦病院状態ではありますが、湘南にとっては金子の出場停止明け、齋藤の全体練習合流は朗報でしょう。中盤でのボールハンターが帰ってくるようだと、前節からより一層チームとしての活気が出てくるはずです。一方のガンバも宇佐美、アデミウソンが全体練習に合流し、試合に出場は可能とのこと。明確な攻撃のアイデアが乏しいので、彼らの個の能力を上手く生かしたいところです。
おそらく湘南は試合開始直後から全開プレスでガンバのビルドアップを阻害してくるでしょう。私はガンバのGK+2CBに湘南は1トップ2シャドーの数的同数でプレスしてくるものと予想します。ガンバは川崎戦のように時間に余裕がある状態でロングフィードを送る機会が減ります。小野瀬のポジションにもよりますが、WBでの出場ならば右サイドへのフィードが当然多くなります。セカンドトップのポジションならばダイアゴナルなランも見せる事が出来ますが。
湘南が明確なボール保持からビルドアップを行わないことを前提とすると、ガンバサイドとしてもFWの選手から制限をかけるメリットが薄いので攻撃に特徴のある宇佐美やアデミウソンを使う方が効果的と考えることも出来ます。
この辺りは、予想して実際はどうなるかという楽しみに繋がりますね。
湘南はホームですし前節で取り戻したスタイルを継続し、ガンバを試合開始から窒息させることが出来れば先手を打つことが出来ます。
「縦の美学」をホームで表現することが出来るでしょうか。
OWL Forestの仲間であり、ベルマーレサポーターであるしゅんさん(Twitter@SBFC9_Shun18)によりますと、浮嶋監督は育成年代の監督時代には知将と呼ばれ、試合中の修正能力に秀でていたとのこと。相手との噛み合わせが悪くなった時や後半の運動量が落ちてくる時に、どのような修正をしてくるか興味深いところです。
ガンバは勝てば残留へ大きく近付きます。チームの中心だった倉田不在で小野瀬にかかる負担が大きくなっているのは確かですが、湘南のようなはっきりしているチームには、ガンバもシンプルに前へと攻撃したいところです。
やはり、行ったり来たりのスピーディな展開となりそうですね。
J1残留へ向けた大一番、平塚でどのような結末を迎えるでしょうか。
では、また。
Twitter:@fulaneku49