2019シーズンJ2第28節水戸ホーリーホック-京都サンガF.C.プレビュー
皆さんこんにちは、Ryu-Yです。
「水戸」
そう聞いて、皆さんは何を思い浮かべますか?
納豆? 偕楽園? 徳川家?
いやいや、サッカーファンなら「水戸ホーリーホック」ですよね。
現地観戦する予定ですので、せっかく行くなら試合を最大限楽しみたいですし、今回は初めてプレビュー記事を書いていきたいと思います。
孫子の中でも
「彼を知り己を知れば百戦殆からず」
という言葉があるように、まずは相手のことを調べてみました。
<水戸ホーリーホック>
・設立:1994年
当時県リーグ4部に所属していたFC水戸が起源。1997年にプリマハム土浦(現流経大中野監督が率いていた)と統合する形で水戸ホーリーホックが誕生。2000年よりJ2で戦っています。
・ホーリーホック(HOLLYHOCK)
英語で「葵」の意味。徳川御三家である水戸藩の家紋から引用。
引用:水戸ホーリーホックHPより
ちなみに、このエンブレムを取り巻く龍は水戸黄門としても有名な徳川光圀公の字(あざな)だそう。
随所に水戸藩への思い入れが感じられます。
・J1ライセンス
ホームスタジアムであるケーズデンキスタジアム水戸が12,000人収容でJ1ライセンス交付基準となる15,000人を満たしていないことから、22,022人収容の笠松運動公園陸上競技場も同時に申請しています。J1昇格した場合は笠松がホームスタジアムに。
・アツマーレ
かつて使用していた練習場は河川敷に位置していた為、河川の増水でピッチが使えなくなることが多々あったそうです。そこで城里町にある廃校となった旧・七会中学校をクラブハウス兼練習場として改築。トレーニングルーム、食堂、天然芝のピッチ2面等Jリーグ屈指の練習施設となりました。今季の躍進はこのアツマーレが出来たことも大いに寄与しているものと思われます。
・MVP(Make Value Project)
西村強化部長を中心に、ピッチ内のプレーだけでなくピッチ外の社会的貢献度も選手の評価基準として取り入れているようです。地元の小中学校などに出向きスポーツ教室など地域貢献活動を数多く実施。地域にとって必要な存在であることを感じて貰うために積極的に活動しています。他にも、スポンサー企業についての説明会を行うなど、選手がサッカーだけでなく社会との繋がりを持つことの重要性をクラブが強く感じている様子が窺えます。
・プレーモデル
これについても西村強化部長の手腕が存分に表れています。(無論、長谷部監督の貢献度も計り知れません)攻守に亘ってソリッドな4-4-2システムの構築。前線からボールにプレスし相手から選択肢を奪い、高い位置でのボール奪取を目論む。ボールを奪ったらまずは最前線にボールを送ることを最優先。隙あらば両SBが駆け上がって高精度のクロスからゴールへ。セットした守備では、コンパクトな陣形と迅速なスライドで中央を完全ブロック。
<今シーズンの両チーム>
・京都サンガF.C.
2位(勝ち点51) 14勝9分4敗 得点43(リーグ2位)失点26(リーグ6位)
直近5試合3勝2分 得点12/失点6 前節8/10栃木SC戦H 2-2
16試合連続得点中
ボール保持率/パス数リーグ1位
・水戸ホーリーホック
6位(勝ち点45) 11勝12分4敗 得点31(リーグ15位タイ)失点19(リーグ2位)
直近5試合1勝3分1敗 得点5/失点4 前節8/10横浜FC戦A 0-0
複数失点3試合
夏の移籍で小川(磐田→)、レレウ(湘南→)、宮(神戸→)、福満(C大阪→)の積極補強
<今シーズンの対戦成績>
6/29 J2リーグ第20節 2-2 得点者:一美、仙頭(京都)、清水、前(水戸)
7/3 天皇杯2回戦 0-1 得点者:村田(水戸)
<両チーム予想スカッド>
サンガはおなじみ4-1-4-1予想。右WGの仙頭がケガで離脱中の為ジュニーニョが引き続きスタメンになるでしょう。中野を使ってみても面白いのですが、水戸のサイド攻撃は強力なので、前から守備のいけるジュニがファーストチョイスかと。右SBの福岡やIHの宮吉のところも多少変えてくるかもしれません。
対する水戸もいつもの4-4-2予想。14日の天皇杯はターンオーバーしていたので、先週のリーグ戦から大きなメンバーチェンジすることは無さそうです。ンドカは前節出場停止だったようで天皇杯に出場していましたが、今節は戻ってくるでしょう。両サイドがコンディションによって若干流動的になる模様です。
ボールを保持するサンガ、堅い守備から真ん中でボールを奪ってカウンター狙いの水戸、これまでの戦いぶりからそういった試合の構図になることは容易に想像出来ます。
前回対戦では試合開始早々に水戸の前線プレスに引っ掛かりまくりで、前半3分という早い時間に失点。前半21分に相手CBのンドカが一発退場するという一幕があったために数多くのチャンスを作り出すことが出来ましたが、結果としては追い付かれてドロー。水戸の粘り強さに打ち勝つには、酷暑が予想される試合なのでパスワークでの揺さぶりと相手の堅い守備網の間を突く縦パスが入れられるかが勝負の分かれ目となります。
-試合開始直後-
水戸は試合開始直後は前線から猛烈なプレスをかけてくることが予想されます。サンガのDFラインには2FW+両SHで数的同数ではめてきます。ここで無理に繋ごうとすると、SBのところやハーフウエーライン辺りでWGのところでボールを奪われてピンチを迎えるリスクがあります。そこで、試合開始から相手がセットした守備を行う20分程度まではシンプルなロングボールが有効となります。ジュニーニョには卓越したスピードがあるので相手左SB(志知)の裏、小屋松はボールを前に運ぶ推進力があるので足元へのボールを送り、単純に相手のプレスを押し下げることを第一優先にすることが望まれます。
-20分前後~-
横浜FC戦でもそうでしたが、20分を過ぎてくるとミドルゾーンでのセットした守備へ移行します。その時、2FWは庄司への縦パスのラインを消すようにポジショニング。ボールを両SBへと誘導します。そこから、中へ横パスしたところで「待ってました!」とばかりに中盤の選手が猛烈プレス、ボール奪取からショートカウンターへと繋げます。ポイントとなるIHの役割ですが、相手のプレッシャーがきつい中での素早いボール捌きが必要となります。SB、IH、WGのトライアングルをアメーバのように連続的に作り出しながら前進することが出来るか注目です。
また、前節のミスからの失点にもあったように、相手のプレッシャーがかかっている中で無理に庄司にパスしてボールを失うことは避けなければなりません。庄司はトラップしてからパスを出すまでワンテンポかかりますので、特に出足の速い相手には注意が必要です。
最終ラインを経由してのサイドチェンジには素早いスライドで対応してくる守備陣ですので、中盤での彼の必殺サイドチェンジが必要になってきます。その為に庄司が前を向いた状態でボールを持てるかはひとつ鍵になるポイントです。
-リサイクル旋回-
今季のサンガはペップ・グアルディオラ率いるマンチェスター・シティのようなポジショナルプレーのエッセンスを取り入れていますが、象徴的なのが上図。
footballistaでは「リサイクル旋回」と名付けられていましたが、ローテーションと呼んでいる方もいます。
ラポルト→本多、ジンチェンコ→黒木、サネ→小屋松、D・シルバ→金久保(アグエロ→一美)として考えてみて下さいw
基本的な配置から黒木、小屋松、金久保が時計回りにポジションチェンジを行うことで相手はマークするべき相手が変わり混乱します。ドリブルしてくるのか、縦パスに注意すべきか、サイドチェンジに気を遣うべきが判断する際に迷いが生じます。
小屋松が中へ入りこむことで逆サイドへドリブルして相手を動かしても良いですし、サイドチェンジをしても次の攻撃の展開へと繋げられます。
また、一美がサポートしてボールを受けてタメを作れることも今のサンガの大きな強みです。三角形+一美が両サイドで展開できるようになると水戸相手でも崩し切るチャンスは出てくるのではないでしょうか。
-志知孝明大作戦-
水戸はセットプレーを強みとしており、サンガはいかに相手のCK機会を減らすかが重要になってきます。
その中でも要注意選手は左SBの志知。
元々はトップ下など攻撃的な選手であったとのことで、今季加入してコンバートした左SBで大覚醒。彼のオーバーラップ、CK時のヘディングシュート、こぼれ球からのミドルシュートのどれもが脅威です。(なんとトップスコアラーはこの志知なのです)
CK時に彼はファーサイドにポジショニング。直接はもちろん、彼の折り返しからのシュートもしっかりデザインされています。上動画のようなグラウンダーのボールを叩き込む形もあるので、こちらとしては対応に困るところです。
水戸のセットプレーについては、浦ビューさんのブログ(https://note.mu/pepmisha/n/nf57604212cb5)にて丁寧に説明されていて参考になりました。(キッカーが片手上げか両手バンザイで狙い所が変わるのは興味深い)
その他の注目選手は、ジュビロ磐田から今夏に育成型期限付き移籍で加入した小川航基。
相手DFの裏を突く動きや優れたシュートセンスはもちろんのこと、ゴールキック等での狙いも彼が中心です。あまりボールを収める能力は高くないのかなと思っていたのですが、そんなことは全然無く彼が起点となりサイドへ散らす展開も数多く見られます。本多と安藤で小川にタイトな守備を行わないと、苦しい展開へとなってしまうでしょう。
<まとめ>
J1昇格圏内の2位以内をキープする為にも、この水戸戦は大一番となります。
相手が前から来ても自信を持ってボールを動かし、相手の守備網をひとつずつかいくぐっていくことが必要となります。
守備が固くカウンターやセットプレーが強い相手は今季のサンガにとって苦手となる相手です。ただ、そこを打ち破ってこそJ1昇格が見えてくるのでしょう。
お盆のアウェイ決戦、我々サポーターも心してこの一戦に臨みましょう。
では、また。