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京都サンガF.C.の試合レビューが中心。たまに観戦記。

2019シーズンJ2第16節京都サンガF.C. VS 東京V観戦記~今季初の4得点、3点差勝利!~

 

皆さんこんにちは、Ryu-Yです。

 

2019年6月2日(日)

J2リーグ第16節 東京V - 京都サンガF.C.の試合を観戦する為、味の素スタジアムに行ってまいりました。

 

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味の素スタジアムは調布市にあり、FC東京と東京Vがホームスタジアムとして使用しています。

両チームともホームタウンは東京都全域としているのですが、実際にホームタウン活動を行うのはそれぞれの出資自治体のみと定められているようです。

 

FC東京:調布市、府中市、小平市、小金井市、三鷹市、西東京市

東京V:稲城市、多摩市、日野市、立川市

 

よって、東京Vはスタジアムのある調布市でホームタウン活動を行うことが出来ず、スタジアム周辺ののぼり等もFC東京のものしかありません。

東京Vが今の地域で活動するようになったのにはJリーグ黎明期からの歴史があるわけですが、ここで語るほどバッググラウンドに明るいわけではありませんので割愛します。

もう少し知りたい方は、OWL Magazineより円子さんのブログをどうぞ。

 

引用:OWL Magazine note

 

東京のサッカークラブと言えば他にもFC町田ゼルビアやJFLに東京武蔵野シティFCがありますが、どれも多摩地区ばかりですね。

大都市にビッグクラブあり、というのが世界の潮流ですのでそれに倣って23区内にJクラブがあればよいのですが。

幾つかのクラブがJリーグ入りを目指していますが、そもそも都内にサッカー場が不足していますし、なかなか一筋縄ではいかない問題です。 

 

 

 話が逸れました。

 

 味スタに来るのは3回目ですが、初めてのバックスタンド。

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この前のニッパツでの試合でも感じたのですが、選手のウォーミングアップがかなり印象的でした。さながら陸上選手のようなのです。

膝を伸ばした状態での脚の切替え動作や体幹の安定を意識したバウンディングなどは、短距離選手が試合前に行うそれと全く同じです。(私は11年間陸上競技をしていたのですが、その時に行っていた動きと同じものが多数ありました。)

スプリントする際の出足を高める為のドリルや、相手とぶつかった時に当たり負けしない体幹を整える為と思われます。

 

先発組にはコンディショニングコーチである水口涼太コーチがかなり指導している様子でした。彼は京都でのトレーナー経験も長いのでここまで変わるのは不思議でもあるのですが。

昨シーズンはトップチームを一旦離れアカデミーで身体作りについて専門的に学んだということですから、そのインプットが生かされているように感じました。

 

先発組のピリピリとした雰囲気と、サブ組の少し和やかな雰囲気が相まって非常にチームとして充実している様子がウォーミングアップからも伝わってきました。

 

金沢の柳下監督から「ウォーミングアップから京都は緩いと感じた」と言われたチームは完全に過去のものとなって良かった。。。笑

 

 

引用:YouTube

 

 

両チームスタメンはこちら。

 

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京都は庄司が前節一発退場で今節は出場停止。4-4-2とするか、とも言われていましたがアンカーの位置には福岡が入り、右インサイドハーフには怪我から復帰した宮吉が久々の先発となりました。

一方、東京VはCFのネマニャコイッチに代わりレアンドロが先発。

お互いボールを保持しながらゲームを進めたいチーム同士でゲームメーカーとなる庄司が不在の中、京都は主導権を持ってゲームを進められるかに注目しました。

 

試合が始まるとすぐに京都は主導権を握ります。

東京Vは守備時に4-5-1のブロックで一番前はレアンドロのみとなります。彼自身そこまで守備時のタスクは求められていないようでした。安藤と本多の両CBはレアンドロを挟むようにポジショニングしながらほぼノンプレッシャーで福岡やIHの2人へパスを送ります。

 

ここで光ったのが福岡の状況判断力とポジショニング。東京Vはアンカー井上の脇が空くので、そこにクサビのパスを送ることもチームの狙いとしてあったようです。

 

福岡の試合後コメント

「今週の練習で、ヴェルディはアンカーの脇が空いてくると情報が入っていた。そこをどううまく使うか。自分がクサビをつけたり、SBやCBがつけたりで、うまくそこを突くことができて、チームとして良い流れで前半に3点決めることができた。」

 

チームとしての狙いを確実に遂行する力が、この18歳の若武者にはあります。

 

 福岡を起点としながら前線の選手たちがボールを受けに来たりDFラインの背後を狙ったりと東京VのDFラインを揺さぶります。セットした状態での攻撃時に京都は前線に一旦5枚(WG×2+IH×2+CF)が一直線に並ぶような形になるのですが、その後はボールを引き出したり、動き直したり、DFラインの背後に飛び出したりと多彩な動き出しをそれぞれの選手が行います。そうすることで東京Vの2列目と3列目のギャップを上手く作り出し、ボールをさばきながら敵陣深くまで攻め込みます。

 

それが上手く形になったシーンを図示したものがこちら。

 

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こちらは16分50秒前後のシーン。

東京VのCKを清水がキャッチして、京都の攻撃へ移ります。東京Vは前からプレスを掛けに来ず、ハーフウェーライン辺りまで撤退します。

このとき、東京Vの2列目は小池、佐藤、井上、渡辺、河野の5人が横並びになるのですが、京都の仙頭、宮吉、重廣を気にしてラインが下がります。それを感じた福岡はレアンドロと2列目の間にポジショニングを取ります。石櫃がボールを持った際、1度目でも福岡にボールは渡せたのですが、井上と福岡の距離があったためここで渡すと福岡が前を向いた時に1対1となるので敢えてここでは仙頭へ。もう一度ボールを受けた石櫃は、今度は井上が食い付いて来ていたため福岡へボールを出します。ここで、福岡も井上が来ていることは察知していて、その後ろに広大なスペースがあることを確認しています。その後、ワンタッチでフリーの宮吉へボールを渡すことで大きなチャンスへ繋がりました。

 

2点目のシーンは、逆に重廣がDFライン裏へランニングしての落としからの流れでしたので、相手のライン間と背後の両方を絶えず狙っていたことで1点目とは違った形での得点となりました。

 

2失点した東京Vはこの守備ではまずいと思ったのか、河野や佐藤がボールホルダーへプレスを掛けるようになりましたが、井上の脇のスペースが空いている問題点は修正出来ず、本多から重廣への鋭い縦パスから3点目が生まれます。

 

相手が修正をしてくる前に3得点出来たことは、かなりポジティブな要素と言えます。

 

 

後半に入り、東京Vは河野に代えて林を投入。

システムを3-5-2に変更します。

FWを2トップにして高さを加えてロングボールもある程度許容していくこと、またアンカー井上の脇を京都は突いていたので後半はダブルボランチ(井上+渡辺)にすることで、重廣と宮吉を見る形にして制限をかけてきました。

 また、前半35分頃からみられたレアンドロが2列目に下りてきてボールを受ける動きが後半も何回か見られました。レアンドロが空けたスペースには佐藤が埋めており、チームとしての約束事として行っていることが分かります。彼自身裏抜けしてワンタッチシュートを狙うというよりは、ミドルシュートや足元の技術を生かしたポストプレーの方が得意としているようです。

そうした選手の流動性が高まった東京Vに押し込まれる時間が増え、京都は守備に回る時間が増えます。

東京Vの圧力を跳ね返すため、後半15分に京都は闘莉王を投入。東京V同様に3バックに変更し、守備時に5-4-1ブロックを形成します。

 

ただ、京都は5-4-1ブロックを形成しても相手を待ち構えるというよりは、ボールホルダーに食い付く傾向があります。その食い付きを上手くかわされ失点に繋がりました。

 

後半17分のシーンを図示したものがこちらです。

 

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佐藤がボールを受けるために最終ラインまで落ち、井上が福岡と仙頭の間にポジショニングを取ることでボールを呼び込みます。

ここで対応するのは最終ラインの安藤なのですが、当然井上までは距離があるため食い付いている間に奈良輪に横パスをします。

闘莉王が安藤の空けたスペースを埋めようと右寄りに移動するため、林は本多と闘莉王の間の空いたスペースでボールを受けようとします。

奈良輪からのボールは林が胸で落としレアンドロへ。レアンドロは前線へ走りこんでいた井上へスルーパス。

京都の選手たちはボールサイドへ集まっているので、井上のクロスは逆サイドでフリーとなっていた小池へ。

小池のシュートはリフレクションしながらもゴールへ吸い込まれました。

 

 

このようなシーンは今節だけでなく、毎試合同様の事象が起きてます。

4バックの場合は4-5-1、3バックの場合は5-4-1でのセットした守備となりますが、この5人のラインで5レーンを埋めて相手のパスコースを消すというよりは、あくまでボールホルダーヘプレスをかけてアクションを起こしていく守備を行っています。

 

中田監督の基本コンセプトは「ボール保持により相手の攻撃機会を減らしながら、能動的に相手を崩してゴールを目指すサッカー」ですから、守備時でもボールへアタックしてボール奪取を目指すアクティブな守備を目指していると考えられます。

 ここ5試合ほどに見られるボールを失ったときに相手ボールホルダーへアタックして即時奪回しようとするゲーゲンプレッシングはその際たるものです。

 

守備の安定を求めた序盤戦から攻撃陣の活性化が上手く進んでいることから、改めてチーム作りの順調さが感じられます。

 

これから暑い時期に入ってスタミナの消耗が激しくなった時、ボールを保持して相手を動かすサッカーというのは体力面でも有利になると思います。

6、7月は上位勢との対戦が続きますから、ここから更なる上積みに期待しましょう。

 

 

では、また。

  

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